千夜一夜

人生は短い、それはまるでたった1日のように

シラカン「坦々とおこり」感想、天国とおでん

北とぴあカナリアホールで劇団シラカンの最新作「担々とおこり」東京公演初日を見てきました。

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おじいちゃんのお葬式に出られなくて後悔したから、なんとかして出ようとする話

あらすじです。最初はタイムリープものかと思った。
おじいちゃんのお葬式に出なかったことを後悔して、もう一度お葬式をあげようとするまでの話。悲しみが発生するまでの話、とも言えるかもしれない。

 

主人公の女の子の名前、あけみちゃんでよかったんでしょうか。
台詞で何度出てきても「お葬式をあげる」の「あげ」と同じ音に聞こえるけど、「あげみ」が名前なんてことある…?って葛藤した。おじいちゃんの台詞だと「あゆみ」にも聞こえたし。

でもアフタートークの西さんがたぶん「あげみ」と言ってたので、それが正解のはず。

序盤で彼女がお葬式に出なかった理由を問い詰められていたとき(実感がわかなくて行く気になれなかった、とか誤魔化せばいいのに)と思ってしまったので汚れた人間になってしまったなぁと思いました。

 

大きなシャンデリアと窓のある平らな部屋で、散らばる木片や玄米や黒いマット。前回あうるすぽっとでは高い舞台の上だったので、対称的でした。

会場ごとにまた違って見えるんだろうなあ。
席との距離が近いから役者さんたちの顔がよく見えました。でも、おじいちゃんの宿っていた?ものが何なのかわりと中盤までわからなかった。そういう!って。
あと、お葬式をあげ直す直前のあたりのとき舞台の端でマヨネーズがことんって倒れたのが妙に印象に残りました。

 

劇中の「悲しみニスタ」いわく、悲しみは質より量なんだそうです。親しい人に裏切られても電車が目の前で行っちゃっても、悲しいという点では同じ。

印象的でした。そう思うといろいろ全部同じ悲しみだから…とすべてたいした意味はないような気がしてくる。

この場面で登場する春木来智さん演じたミュージシャン(役名が思い出せない)がセクシーだった、前作ではぜんぜん窺えなかった一面でびっくりした…。

 


あとは、いろいろな具の入ったおでんが人の世に例えられていたところ。

天国と思われる場面でおでんの具が浮いて飛んでいたので、死んでもいろんな人がまた天国にいるって意味ではそんなに変わらないのかな、と思ったり。

なので、前作でイメージしていたシラカンらしさ?は今回少なかったと感じたけど、西さんを中心にシラカンの公演の本質は変わらないんだと思います。

具体的には、激情や踊りにモノローグを被せるような場面があって驚いたり。勝手なイメージで括ってはいけない。

 

おでんは牛すじと、大根が好きです。

 

よければ前作の感想も読んでいってください、こちらも死がテーマにあったと思います

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