前作未見で挑んだけど楽しかった!仲の良い高校の先輩と丸の内ピカデリーで「バーフバリ 王の凱旋」を見てきました。
丸の内ピカデリー、広い!あと売店のスイートクリームチーズプレッツェル、あったかくてふわふわで美味しいです。
自分の生まれを知らず村で育った王子の冒険が第一作「バーフバリ 伝説誕生」、今回の「王の凱旋」では彼の父の過去が語られる、という感じ。
最初に前作のあらすじ紹介があります。最初は展開を追うので精一杯になって見たはずのあらすじを完全に失い混乱するものの、終盤であらすじとのつながりとタイトル「凱旋」の意味が分かったときの爽快感がすごい。
三崎亜記の連作短編集『失われた町』の最初に「プロローグ、そしてエピローグ」という短編があって、最初に読んだ時点では何もわからないんだけどすべての話を読んでから読み返すと意味がつながって感慨深かったのを連想しました。
あと舞城王太郎の小説。冒頭で象に乗る場面は、舞城王太郎の短編にあったラクダに仁王立ちで乗るサンタを思い出した。(『好き好き大好き超愛してる。』より)
以下本編の感想です。
男女共に、強いとかっこいい!
現代日本で生きててスポーツもしないので忘れていたけど、根元的に強いと恰好いい。(というか命のかかった戦いを乗り越える点において、スポーツとはさらに別種かもしれない)と圧倒的に突きつけられました。
バーフバリ始め登場人物の戦い方も破天荒です。馬車(山車?)ってそれ自体を武器にするものだっけ、扉って取り外して盾になるものだったっけ、みたいな。
でも現実的に強くなりたいとはあまり思わなかったなぁ。大人しく命のかかった戦いに身を置かなくていいありがたみを噛みしめています。
そして登場人物みんな、我も強い!正々堂々とせず策略を巡らすタイプの人物もいるけど、彼らも目標に向けて諦めず妥協しないので一周して意思の強さを感じた。
国母シヴァガミが目を見開くシーンが好きでした。劇中何度かあります。男女問わず目の大きい人がカッてしたときに見える上下の白目が好きなので。(例えが難しいけど、生瀬勝久さんがコメディでよくやっている見開いた目がが好き…。)
あとインド映画にしては短いと聞いていたものの、やっぱり2時間20分は長い。息子の代のエピソードに入ってから少し疲れたな…って思いながら見てしまった。
最近舞台とか映画見て気がついたけど、気持ちが幼いので2時間超えるとだめです。集中力の途切れない大人になりたい。
そういえばこの数ヶ月プレイしていたFateGOというアプリゲームで弓や剣、槍がかなり身近に感じられました。バトルしててよかった。
バーフバリのカリスマ性を見て、ゲーム中に登場する王様キャラもこんな感じなのかなぁと思ったり。RPGですが、まだストーリーの途中なので楽しみが増えました。
ここからさらに中身に触れます。
「命を生み出すのは神、救うのは医者、守るのが王族だろう!」
「小心者でも勇者となるべき時がある、今がその時だ。」
三枚目キャラの小国の王子クマリがバーフバリに助けを求めて一喝された台詞。それまで情けない描写だった彼が、敵に立ち向かった場面がかっこよかった!
「今がその時」って台詞は伊坂幸太郎の『グラスホッパー』にもあって、印象に残っているので嬉しかったな。そして臆病なキャラが助けを求めた相手の言葉で発奮して後々までそのときのことを心の支えにするって描写は伊坂さん原案の漫画スピンオフ『Waltz』の苺原くんを彷彿とさせてテンションが上がりました。
Waltz、耽美寄りの絵柄がハマる人には刺さると思うのでおすすめの漫画です。多少暴力シーンもあるけど、バーフバリの戦闘描写が大丈夫だった人なら大丈夫。全6巻です。
応援していたからこそクマリの最期は悔しかった。そういえば彼どうして自分の国を出て妹の様子見に来てたんだろう。過保護だ。
医者といえば、医者は命を救うって概念がちゃんとあるわりには医療の存在感が薄かった気がする。あの指切った場面、法廷でも指なかったけど治療はできなかったんだろうか。
例の首切っちゃうところはあんまり納得いかなかった派です。指の時点でちょっとやりすぎだったと思う。お兄さん(名前が覚えられない)*1バーフバリの直情性まで見越して仕組んだのかな、たぶん過剰防衛の線で罪人にしようって程度で、死ぬとは思ってなかったはず…。
(といいつつ数日後にツイッターで手のひら返してる。)
バーフバリ見たときの私「いくらセクハラ男でも指切っちゃうのはちょっと…」
— 千夜🍊 (@senya_1ya) February 12, 2018
試食のバイトでおじさんにあーんを強いられた今日の私「これは切る」
まとまりがなくなっちゃったけど、そのくらい圧倒されたということで。鑑賞の興奮冷めやらず、今日はインドカレーを食べてきました。衣食住の衣と住に関する美は作中で堪能できたけど、食事シーンがほとんどなかったのがちょっと残念。
インドカレー屋さん、レジ前にバーフバリのちらし置いてました。
バーフバリを見ましょう。今がその時!
以下は舞台「アンチゴーヌ」と関連した感想です。
観終えて気付いたけど舞台「アンチゴーヌ」で描かれていた「納得のいかないことにノーを突きつける意志」をアマレンドラ・バーフバリの言動と重ねていました。ギリシアとインドの違いはあってもこれが王族(の中でも神話に近い方の)価値観か…と謎の納得。
王(族)にも神性と人らしさがあって、逆に言うと身分が高いからこそ毅然と生きる選択肢があるってことだと思います。一般市民であれば生活に追われて妥協以外の選択肢を意識もしないか、信念を貫き通したとしても犯罪者として片づけられてしまうか。
だからこそ物語の古典的な筋になるってことなんだろうなぁ。
そして私がアンチゴーヌの決断に納得できなかったのは、彼女の意志に身体的な強さが伴ってなかったからかもしれない。力の代わりに武器にしたのが死だったことで、彼女の決断が悲劇になってしまったのか、と思った。
http://www.senyaitiya.com/entry/2018/02/01/221139
よもや映画バーフバリと舞台アンチゴーヌを関連させて語ることになるとは…。
*1:「バラーラデーヴァ」でした