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【東京都美術館】ゴッホ展 巡りゆく日本の旅/現代の写実展 感想

先日ゴッホを題材にした映画を見たので、12月29日の上野で「ゴッホ展 巡りゆく日本の旅」に行ってきました。映画の記事はこちら。

アニメと実写と絵画のあいだ「ゴッホ〜最期の手紙〜」感想 - 千夜一夜

 

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チケット写真です。

 

 浮世絵と印象派

一般的な仕事納めの翌日ともあってか、すんなり歩けないほどの賑わいでした。お子さん連れや外国の方が多かったような。

順路でまず目にしたのは「画家としての自画像」でした。目が黒一色で塗ってあるのですが、反射できらっと光って見えます。油絵の醍醐味。

映画ではゴッホがパリに馴染めず離れたという描写でしたが、実際にはパリで出会った印象派と浮世絵に大きな影響を受けたとありました。北斎などの作品も展示されています。体感的には、ゴッホの絵と彼のものでない参考作品が交互に半々くらいでした。

一見普通のゴッホの風景画でも、解説で「斜めの構図は北斎の影響〜」などと読むと見る目が変わります。特にそうした解説のない絵でも、ここが斜めの構図っぽい!と見ると楽しかったです。笑

いわゆるパリ時代とアルル時代、ゴッホ前期から中期の絵が展示されていました。1890年代のパリでの日本美術(浮世絵)ブームや、1920年代に渡仏した日本人画家の資料を集めた一角も。浮世絵を収集し、パリでの日本ブームの火付け役となった画商ビングが文化貢献により勲章を受けた日に、ゴッホは息を引き取っていたそうです。

ガシェ医師と日本人画家の交流の記録は、映画を見ているかどうかで思い入れが大分変わると思います。ガシェ医師の里見勝蔵への絵葉書が、名刺2.5枚分くらいのサイズで驚きました。

ゴッホ兄弟の墓を描いた作品に、「墓前の赤い花の花びらを塗り込んだ」と解説されたものがあったのですが、どの部分に塗り込められていたのかわかりませんでした。気になります。あと当時の日本の資料、ゴッホの表記揺れが多かった!ゴホホとかホッホとか…笑

アルルで描かれ一部が現存している「水夫と恋人」を、全体復元するプロジェクトも展示されていました。映画で作画を担当した画家の中でも唯一の日本人、古賀陽子さんが復元作業にあたっています。

奥山儀八郎による「タンギー爺さん」の木版画が好きでした。カラフルな色使いと木版のさっぱりした線が合っていて。この絵のグッズがあったら欲しかったくらい。ミュージアムショップでは、表紙に「種まく人」が印刷されたA6ノートを購入しました。

 

近現代の写実

同時開催されていた上野アーティストプロジェクト「現代の写実ー映像を超えて」と「近代の写実展」についても。ゴッホ展の半券で入れました。半券なくても学生は無料とのことです。

リアリズム展は作品の撮影OKでした。前半は写真と見紛うもの、後半はリアルな絵柄でありつつ創造的な作品。最初は目の前のものをそのまま描く以外の写実にあまりピンと来ていなかったのですが、パネルの解説で「内面のリアリズム」という言葉があって腑に落ちました。

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お気に入りだったのは橋本大輔さんの「観測所」。他にも「とうもろこしを装飾品にしているのか、とうもろこしを装飾しているのか」や「右上のとこ顔になってる、左の真ん中も遠くから見ると人じゃない?」などと盛り上がりました。どんな作品だったかについては、こちらから。

9人の作家が描く「現代の写実」。 東京都美術館が公募展で活躍する作家を紹介|美術手帖

 

印象派に浮世絵、現代リアリズムに近代写実と一粒で四度おいしい東京都美術館で充実した3時間半を過ごせました。一日で色々な絵をみた…!

特に映画『ゴッホ 最期の手紙』を見てゴッホに興味を持った方なら損はしないかと。誘った友人は映画未見でしたが、楽しんでもらえたようです。

リアリズム展と近代写実展は2018年1月6日、ゴッホ展は2018年1月8日まで。

京都美術館

 

 

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