生まれてから今まで関東の某ベッドタウンで生活していて、静かな場所で暮らすことに憧れています。
ふたつの場所で家を持つ二地域居住という暮らし方があると知り、家族で実践されている方の本を読んでみました。馬場未織さんの『週末は田舎暮らし ゼロからはじめた「二地域居住」奮闘記』感想です。
デュアルライフとも呼ばれているんですね。ああデュアルディスプレイのデュアルか…と納得してしまったあたり自分は田舎暮らしができるのかと不安です。笑
生き物が好きな子供に自然を見せたい、という思いから至った、週末を南房総(ざっくり言うと千葉県の下の方)で過ごす生活の約10年間が語られています。土地と家を探すまでに1年ちょっと、二地域居住の生活は2014年の発行時点で8年目とのこと。
夫婦で生まれも育ちも東京、という環境でのスタートから農作業に至るまでの流れに勇気づけられました。農地を含む土地の売買に関する農地法について、まったく知らなくて不勉強を実感です。
できるだけ家族5人で週末を過ごせるようにスケジュールを調整したり、逆に移動が義務にならないよう家族間でルールに柔軟性を持たせる工夫もありました。
キジの赤ちゃんを保護して、平日は東京で世話していた時期のエピソードにはびっくり。
内容に加えて、文章も印象に残っています。
で、もしここを手にしてしまったら、八千七〇〇坪の、地主だ。
こーんな素敵な景色をつくっている、このひろーいひろーい土地の、地主だ!
最終的に決めた土地を、初めて見たときの場面。ですます調で語られる文体の中にときどき入る、生の感情がぐっときました。中学時代から新井素子さん*1のファンなのですが、彼女の文体を思い出します。
馬場さんは2011年から、NPO法人「南房総リパブリック」を運営しています。
2018年1月には「DIYエコリノベワークショップ」を予定していて、現在も参加者を募集中だそうです。(2017年12月20日現在)
NPO法人 南房総リパブリック|南房総|二地域居住|エコリノベ|里山学校
来月は免許を取りに行くので、ワークショップに参加できなくて残念。でもやっぱり都内中心の生活を離れることを考えるなら運転は不可欠と感じたので、行ってきます。
改めて題名を見直して、体験記じゃなくて奮闘記か、と思いました。生活の一部というか生活そのものなんだから、体験じゃないんだよなあ。ってしみじみ。憧れからいかにリアルな生活として捉えるか、が私の課題だと感じます。
でもこれを読んでからというもの、まず房総に行ってみたい、あと静岡もいいと思ってて~、と母に語ってはうるさがられています…笑
*1:巨匠星新一が発掘した、といわれるSF作家さんです。『チグリスとユーフラテス』がお気に入り。