千夜一夜

人生は短い、それはまるでたった1日のように

「プロメア」感想、いつか語られる伝説

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プロメアを見た。タイムラインで話題になっていて、「映画 少年たち」の予告編で目にしていたのを思い出したので。

「燃やさなければ生きていけない」、「燃えていいのは熱き火消し魂だけだ!」って無茶なやりとりにきらびやかな映像と音楽。

フィーリングで気になった映画は観るべき、って信念のもと突発的に行ってきました。キングオブプリズムともそうして出会った。

 

好きなキャラやコンビができるかな〜と思ったけど、特に誰に入れ込むでもなく普通にSFのストーリーを楽しんで帰ってきた。

展開が早かったから、アトラクションに乗ったみたいな感じ。4DXが合いそう。好きなキャラをあえて選ぶならルチアちゃんかな、メカニック系の女子に憧れる。

冒頭の4人の活躍がアメコミ的で楽しかった。ときどき読めない赤字のカタカナ。4人がピザを食べるシーンで、初めてアイナの露出の多さに気付いてびっくりした。着て…!

リオの「仲間内でマウントの取り合いか、くだらない」という台詞に「若者」を感じた。バーニッシュだって人間だ、に象徴されるような。

マウントって言葉が安っぽいと言ってしまえばそれまでだけど、例えば「仲間割れか、くだらない」みたいな老成した言葉遣いだったら、もっと掴みどころのない冷徹な青年に見えていた気がする。

 

冒頭のバーニッシュの登場時には炎は怒りの暴発による炎上で、基本は負の感情に依るものに見えたけど、30年を経て意図的に燃やせるようになってきたんだろうか。

ピザ屋の青年が確保されかかって取り囲まれたとき、とっさにピザ窯の火に手を入れてピンクの炎を放っていたのが印象的です。

バーニッシュの炎の正体を知ってから思い返すと余計に、その物理的な炎もプロメアと繋がっていたのか、と思う。本人の気持ちの問題なのか。

ガロとアイナのスケートも印象に残っている。綺麗だった。綺麗な音楽の中で光と影が交互に映って。

クレイの財団に乗り込んでからの展開は、リーガル・ハイを思い出した。単純に堺雅人が出ていたのもあるけど、ガロとクレイの関係を古御門研介(堺雅人)と三木先生(生瀬勝久)に重ねていた気がする。

あいつを育てたのは私だ、だからこの手で決着をつけなければ、みたいな。

演技といえば、ガロを演じた松山ケンイチさんには以前「怪盗グルーのミニオン大脱走」の悪役の吹き替えで圧倒されていた。また声優さんとしての演技を堪能できたことが嬉しい。

序盤はクレイを見るたびにタケシがちらついてしまった、初代ポケモンのアニメを見て育ったので。ああいう糸目の造作を「タケシ顔」としたタケシの影響力はすごい。

そしてクレイの側にグラマラスできりっとした美人秘書さんがいたのもリーガル・ハイ小池栄子さんに重なった。

主人公サイドにいるヒロイン(アイナ)は若くまっすぐで、立ち向かう敵の側に控えているのはセクシーで得体の知れない女性というお約束。

 

地球が滅亡するから選別された1万人を秘密裏に宇宙船に乗せる、ってところは三浦しをんさんの『むかしのはなし』を連想した。あれは隕石を逃れた宇宙船が地球を離れてからの短編集だったけど。

プロメア、三浦しをん節を感じない?と思って検索してみたけど、特に誰も言ってなかったので寂しい。

龍に姿を変えたリオをみて「あの炎…泣いてるのか」と駆け出したガロがリオと対面してから急に「お前の逆ギレ炎が云々」と言い出した場面には驚いた。泣いてたんじゃないのか。

それでも「むやみに人を殺さないんだろ、バーニッシュの誇りを貫け」という主張が続いてはっとした。どちらも冷静と激情を担える、互いにアクセルとブレーキになれるのが良い二人組なのか。

ジャニーズにおいてのシンメにも共通しているかもしれない。

 

龍に変わったリオ、美しかったけど妖怪ウォッチ劇場版二作めのぬらりひょんを思い出してしまった。あれは触手のあるタコ系の生き物からユニコーンのような獣に二段階の変化をして、子供が泣かないかと映画館でひやひやした思い出。幹部を二人従えてるところも重なる。

ネットワーク内で意識をバックアップさせてた博士は、石田衣良アキハバラ@DEEP」に出てきた「大量の応答パターンの用意による死者の再現」のさらに進んだ技術を感じさせた。

あとクライマックスの地球を一気に燃焼させてから消火する場面、地球どころじゃなく太陽系の惑星まで一気に爆発させてたな。

キンプラのヒロイック・キングダム(フィギュアスケートの技みたいな感じ)の派手な演出を連想してテンションが上がった。

ここまでにたくさんの作品名を上げたけど、よくある話やパロディと言いたい意図は全くありません。

自分のこれまで通ってきた作品をキーに印象的だった場面を残しておきたい気持ち。

 

ラストシーン、クレイとガロの直接のやり取りがなかったことになぜかほっとした。地球もバーニッシュたちも助ける、そしてお前も、と突きつけられたクレイが虚をつかれた顔をした後、二人がどうなったかわからないことに。

映画は終わったけど、物語の中で一気に燃焼した街の復興作業は続く。移住先の惑星の開墾のように。

リオが地球脱出の犠牲となって神話とされそうになったのと同様に、二人の共闘とバーニッシュの存在はあのラストシーン後の地球で伝説や神話に近くなるのか、と思った。 

 

小学校の国語の授業で、太陽の寿命はすなわち地球の寿命だから人類はいずれ地球の外に移らなければならない、という話を読んだことをふと思い出した。

バーニッシュが現れず隕石も落ちないこちらの地球でも、何十世代か先のいつかは地球を離れなくてはいけない。

宇宙科学者ではない私たちは太陽の寿命が近くなるまでの生活をどうにか繋げていくのが精一杯だけど、プロメアはスピード感と希望のあるラストで生活をリフレッシュさせる素敵な映画でした。おわり!

 

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入場特典映像「ガロ編」と「リオ編」を見ました。それぞれ約10分。

スマホ向けの画質で映画の映像との差は目立ったけど、声優さんを絞ったりせず主要登場人物のしっかり出てくる映像だった。

リオ編から見て、ガロ編の途中で話が繋がっているとわかってテンションが上がった。ルチアが作る前のガロお手製な初期型まといにもちゃんと実用性があったとは。

それとあの女の子、映画のどこかで出ていたかどうか気になる。

リオの下、マッドバーニッシュのサブリーダーな二人に「風刃」と「雷刃」のタトゥーが入ってたことを初めて知った。あの二人、改めて見るとかっこいい。

でも映画館でうっすら既視感があった正体に思い至ってしまった。うすた京介の「フードファイタータベル」に出てた戌野 三歩(いぬのさんぽ)と鷹野爪(たかのそう)だ……!